部下からLINEで退職届!? ビジネスでSNSを使う会社はアリなのか?

テクノロジー

 

「部下がLINEで退職届を送ってきた」という話を聞いたら、皆さんは驚かれるだろうか。退職届は通常書面で提出することが常識だが、その若手社員は出社を拒否し、そのまま退職しようとしているという。その他にも、「遅刻や欠勤の連絡がLINE」「折返し電話をしても出ない」など、業務上の連絡に気軽にLINEなどを使う若者世代が出てきているようだ。

 

退職のためには退職届は必須ではないが、離職届発行の際など、会社が紙での退職届が必要な場面もある。LINEだけでは不十分なことも多いのだ。また、業務中は通知を切っている人もおり、確実に連絡を取る必要がある場合、LINEはあまり適切でないかもしれない。

 

このように、業務上でLINEなどのSNSを使う例は増えているが、会社が公に認めていないサービスを使うことにはどのようなリスクがあるのだろうか。

 

 

■広がるLINEの業務利用

 

日本ビジネスメール協会の「」(2018年6月)によると、仕事で周囲とコミュニケーションをとる主な手段はメール(96.5%)が最多。続いて「電話」(90.02%)、「会う」(68.87%)となった。

 

一方、「LINE(LINE WORK含む)」は2017年の19.42%から23.45%と約4分の1にまで増加。「ChatWork」(8.50%)、「Skype(Skype for Business含む)」は8.09%、「Slack」(2.26%)など、コミュニケーションは多様化しているようだ。

 

LINEなどのメッセージサービスが人気な理由は、やはりやり取りのスピーディさにあるだろう。メッセージを送ればプッシュ通知で相手に通知が行く上、既読機能で相手が読んだことも確認できる。要件のみ送れるため、やり取りも簡便化が可能だ。

 

筆者も、LINEやFacebookメッセンジャーなどで仕事の連絡をいただくことがある。メールとは違いプッシュ通知がくるため、休日や外出先などでも連絡が取れるのが便利な点だ。また画面上で確認できるので、電車での移動中など通話ができない状況でも返信ができるのも便利だ。

 

 

■リスクがいっぱいな“シャドーIT”

 

しかし残念ながら、“シャドーIT”によるリスクは大きいと言わざるを得ない。シャドーITとは、コンシューマー向けサービスを社員が無断で業務上で利用することを指す。

 

シャドーITで使われがちなサービスは、たとえば次のようなものだ。既に述べたLINEなどのメッセージサービス・SNSだけでなく、Dropboxなどのコンシューマー向けオンラインストレージサービスを業務上利用したことがある人もいるだろう。個人のスマートフォンを業務で利用している人もいるはずだ。

 

このような行為が危険なのは、やはりコンシューマー向けサービスではセキュリティ対策が充実していないことが多い点だ。

 

 

■LINEの業務利用はなぜ危険なのか

 

LINEの場合、相手を間違えて送ってしまう、通称「誤爆」も少なくない。「おやすみ、週末のデート楽しみにしてるよ」と上司にうっかり恋人への甘いメッセージを送ってしまい、気まずい思いをした話を聞いたことがある。大切な情報やデータを、外部に送ってしまったら情報漏えいにつながる。もちろん、故意に転送してしまうことも可能だ。

 

LINEでのやり取りは基本的に外部から見ることはできないが、代わりに見た人がキャプチャをとってTwitterなどに転載する例は多い。公開しないつもりだったことが公開されてしまうと、大きなダメージにつながるはずだ。また、スマートフォンの紛失・盗難によって悪意のある第三者に盗み見られるリスクも残っている。実際、そのような単純ミスで重要な情報が流出してしまう事件は少なくない。

 

さらにまた、LINEではアカウント乗っ取りもいまだに行われている。アカウントを乗っ取られてしまった場合もやはり情報漏えいにつながる。退職者がグループに残ったままでトラブルになる可能性もあるだろう。

 

安易に利用してしまうと、このように情報漏えい、コンプライアンス違反などにつながってしまい、クライアントに被害を与えたり、自社の損害などにつながってしまう可能性さえあるだろう。

 

 

■企業秘密や個人情報は送らないこと

 

これまで述べてきたようなリスクを避けるためには、どうすればいいのだろうか。

 

ビジネス向けサービスはセキュリティが高く、外部からの攻撃に備えたネットワーク防御、マルウェア対策、盗難・紛失時のデータ削除など、情報漏えいなどを防ぐためのセキュティ機能が備わっている。LINEと同じ使い勝手で利用できるなど様々なサービスがあるので、できればそのようなサービスの利用がおすすめだ。

 

ただしそのようなサービスは機能が制限されていたり有料だったりするため、通常のLINEやFacebookメッセンジャー、Dropboxなどのオンラインストレージサービスを使いたいという企業もあるだろう。そのような場合は、万一漏れても問題ない内容のやり取りにとどめたい。

 

たとえば、顧客の個人情報や、企業の機密情報に関わることは、コンシューマー向けサービス上でやり取りすべきではない。たとえ不便でも、会社内からセキュリティが高いサービスを使ってやり取りを行うなどの配慮をすべきだろう。その上で、端末にロックをかけたり、盗難・紛失時には遠隔でデータ消去できるようにしておくと安心だ。セキュリティに気をつけつつ、業務上でうまく活用してほしい。

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ITジャーナリスト

高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。 書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNS...

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