常習犯もいる!? お笑いネタの「パクリ問題」、最大の被害者は松本人志?

エンタメ

写真:INSTARimages/アフロ

 

イベントで描いた絵が「他人の盗作(パクリ)」だとして銭湯絵師の勝海麻衣さんが炎上しています。、騒ぎはまだ収まりそうにありません。

 

「パクリかどうか問題」は、お笑いの世界でもよく話題になります。

 

最近だとHEY!たくちゃんさんが、最終的に「パクリました」と認めました。テレビの人気番組で本人自らパクリを認めるなんて! 前代未聞だとSNSで話題になりましたが、今回の勝海さんと比べると、大した炎上ではありませんでした。

 

 

■ 「パクる」のはダメだけど「カブる」のはお互い様?

 

そもそも、お笑いは「パクリかどうかの線引き」が非常に難しいジャンルです。お笑いのネタは、オリジナリティを求められる反面、突飛すぎるとお客さんに伝わりません。場面や仕組みを「想像できる」けど、ボケや展開は「予想できない」。そんな絶妙な切り口を、芸人は必死で探しています。

 

狭い所をみんなで狙っているわけですから、カブってしまうことはあり得ます。単にカブったのか、故意にパクったのか。判断するのは難しくなります。

 

 

■「パクればウケる」とは限らない

 

また「面白いネタをパクればウケる!」とも言い切れません。例えば他の芸人の面白いネタをパクって、そうとは知らないお客さんの前で披露したら、ある程度はウケるはずです。しかし、オリジナルを超えるのは簡単ではありません。

 

同じネタでも、その人の外見やキャラクター、声質や言い回しなどの個性で、ウケは大きく変わる。それらは総じて「ニン」と呼ばれます(私もよく作家さんから「そのネタはニンと合っていないよ」とダメ出しされています……泣)。

 

プロのネタ作家も、依頼主の芸人さんの「ニン」に合うネタを作ることが前提になります。M-1とTHE MANZAIの二冠を成し遂げたパンクブーブーの佐藤さんも、しています。ニンと合っているかは「ウケるネタ」の必須条件と言えるでしょう。安易なパクリはウケません。

 

 

■「ダメ、ゼッタイ」パクリはリスクが高すぎる

 

もちろん「ニンの近い人の芸を参考にする」というのはあると思います。しかし、近づきすぎるとそれこそ「パクリ」を疑われます。

 

「あれって、あの人のネタのパクリじゃない?」

 

芸人の世界は狭いので、映像に残らないライブ会場での「犯行」も、同業者にはすぐバレます。HEY!たくちゃんさんの件も「あの人の前では新ネタはやらない方がいいよ」と噂が回っていたそうです。そういう空気はお客さんにも伝わります。途端にウケなくなってしまう。ウケるとは限らないのに、すぐにバレてウケなくなる。パクリはリスクが高すぎるんです。

 

 

■「笑い」は縛れない。笑えなくなるから

 

HEY!たくちゃんさんがある意味「笑って済まされた」のはなぜか。バラエティ番組で、面白おかしく紹介されたのもあるでしょう。しかしそれ以上に「それが松本人志さんの番組だったから」が大きいと思います。

 

松本さんほど「パクられた」人はいません。漫才、コント、トーク。お笑いのあらゆるスタイルを開拓してきた先駆者です。例えば、お題に対するボケを書いて見せる「フリップ大喜利」は、松本さんがはじめたオリジナルの形です。しかし、いま若手芸人のライブでフリップ大喜利を見て「松っちゃんのパクリじゃん!」と糾弾する人はおそらくいません。

 

松本さんはこのような以降の芸人に与えた影響についてしています。

 


“笑い”は、縛れないよ。『これが、俺のんや、これが、誰のんや』とやりだしたら、どんどん笑えなくなるから一番あかん。(中略)揉めてることが面白くもなんともないもんね

 

パクリは「いろんな意味で笑えない」ということですね!(ドヤ顏)

 

ちなみに「ドヤ顏」も松本さんが広めたと言われています。すごすぎる……

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お笑い芸人・作家

石川カズキ

1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家に。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。LOFT公式チャンネル「コントするイシカワくん」(コ...

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